さまざまな企業で各種サービスのオンライン化が進む中、eKYCの利用ニーズも高まっています。いまや多くの企業で導入されており、特に電話の契約や口座開設などでeKYCが活躍。ここでは、具体的にどのような企業でeKYCが導入されているのか、大手サービスやそのほかの企業での導入事例を紹介します。
2023年2月6日時点で登録ユーザーが5,500万人を突破(※)した、大手キャッシュレス決済サービスPayPay。2019年9月30日から、PayPayマネー利用開始時などの本人確認において、株式会社ポラリファイが提供する「Polarify eKYC」の導入を開始しています。Polarify eKYCの導入により、利用者が自身の顔画像と本人確認書類をスマートフォンで撮影することで、本人確認が行えるようになりました。
株式会社ゆうちょ銀行では、なりすまし登録などを防ぐセキュリティ強化のために、2022年1月4日からゆうちょ認証アプリの口座等登録時の本人確認にeKYCを追加。eKYCには株式会社Liquidが提供する生体認証技術を活用した「LIQUID eKYC」を利用しており、ゆうちょ口座開設アプリの本人確認においてもLIQUID eKYCが使われています。
LIQUID eKYCには株式会社Liquidが独自で研究開発した「フラッシュ判定」と「表情筋判定」が用いられ、よりセキュリティの強固な本人確認を実現しています。
KDDI株式会社と沖縄セルラー電話株式会社は、au Online Shopでのau新規契約時や店舗での「下取りプログラム」「かえトクプログラム特典」などの利用時の本人確認にeKYCを導入しています。
これまでは郵送で新規端末や下取りの端末回収キットを受け取る際、配達員に本人確認書類の提示が必要でしたが、eKYCの導入によって本人確認がオンラインで完結できるように。スムーズに手続きを行えるようになり、利用者の利便性向上につながっています。
ソフトバンク株式会社は自社が運用するオンラインショップなどの本人確認において、株式会社ポラリファイが提供する「Polarify eKYC」を2020年9月15日から採用。Polarify eKYCは高精度の顔認証エンジンの搭載と独自の実在性チェック機能により、別人へのなりすましを自動的に検知することが可能。目視による一致確認作業が不要となり、利用者にとってもWeb手続きの利便向上が期待されています。
NTTドコモは、2021年9月8日から新規契約およびのりかえ(MNP)時の本人確認手続きにおいて、株式会社Liquidが提供する「LIQUID eKYC」の導入を開始。LIQUID eKYCは約150社で導入されており、分かりやすい直感的なUIとAI技術を活用したきめ細やかなエラーメッセージの表示などで、本人確認時の離脱率3.0%以下(※)を実現しています。
楽天モバイルは、2020年11月9日よりスマートフォン(Web・アプリ)からの新規契約の本人確認において、「AIかんたん本人確認(eKYC)」を開始しています。
NECが提供する顔認証を活用した本人確認サービス「Digital KYC」をスマートフォン向けアプリのmy楽天モバイルに組み込むことで、オンラインで本人確認が迅速かつセキュアに完結。eSIM対応のスマートフォンであれば、eKYCでの申し込みから最短3分ですぐに使えるようになり、ユーザーの利便性の向上に貢献しています。
りそな銀行をはじめとしたりそなグループは、大日本印刷株式会社(DNP)が開発したeKYC機能を導入し、本人確認手続きによる口座開設サービスを導入しました。所定のアプリで撮影した本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、在留カード)と確認書類の厚み、顔写真を撮影して送信することで、より正確な本人確認を可能にしています。
このサービスで口座開設手続きを行うと、最短で翌営業日に支店名・支店番号・口座番号が発行されます。入力されたそれぞれの情報はクラウド側では紐づけできない仕組みになっており、個人情報が漏洩するリスクも低減しています。
みずほ銀行は、本人確認をオンラインで行うeKYCサービスを導入し、口座開設とオンライン通帳のサービスを開始しました。オンラインで口座を開設する際、本人の顔画像と確認書類(運転免許証、マイナンバーカード)を撮影し、その書類の厚み等をチェックすることで本人確認の精度を高めています。
また、同じ仕組みを利用した通帳レス口座「みずほe-口座」に申し込むと、最大10年分の取引明細をオンラインから確認できます。本人確認の安全性を高めるため、書類データ授受のセキュリティ強化や不正アクセスを防ぐ仕組みを組み合わせて導入。手続き全体のセキュリティリスクを低減しています。
中央労働金庫では、非対面・非接触のニーズに対応するため、非対面・リモートで相談や取引ができる環境・体制の整備が課題となっていました。そこで、新規Web口座開設や個人ローンの申し込み手続きにおける本人確認に対し、NECが提供する「Digital KYC」の導入を開始。Digital KYCには、NECが開発する生体認証の中核技術である高精度の顔認証AIエンジン「NeoFace」が活用されており、本人以外の不正利用のリスク低減を可能にしています。
Digital KYCの導入は、2022年1月に普通預金口座開設、3月に個人ローン、4月に投資信託口座開設での運用を開始。本人確認手続きをオンラインでセキュアに完結できるようになったことで顧客満足度の向上とセキュリティの両立を叶えられたほか、確認業務の大幅な時間削減にも貢献しています。
BASEは、個人・法人を問わずに誰でも簡単にオンライン上にネットショップを作成できるサービスです。累計ショップ開設数は、2022年12月時点で190万ショップを突破(※)しています。
BASEでは、ショップの売上残高を全国のVisa加盟店で利用可能なプリペイドカード「BASEカード」を発行しており、発行時の本人確認手続きをより安全かつスピーディーに行えるフローを検討していました。そこで、BASEが目をつけたのが、本人確認業務をワンストップで対応できるネクスウェイのサービスです。
BASEが導入を決定したのは、ネクスウェイが提供するeKYC後の本人確認書類の目視や突合確認、機微情報マスキングなどに対応可能な「本人確認BPOサービス」、転送不要郵便による本人確認書類の印刷発送・郵便追跡が可能な「本人確認・発送追跡サービス」の2つ。これらのサービスの導入により、本人確認作業から確認書類の発送、追跡までの対応を迅速かつ一括管理できるようになりました。
モバイル送金・決済サービスを提供するLINE Pay株式会社では、郵送で行う本人確認にかかる時間・コストや目視確認によるオペレーターの業務負担などが課題となっていました。
ユーザーの利便性向上やオペレーターの負担軽減、安心かつ迅速に行える本人確認の実現を目指し、LINE CLOVA開発の高い認識精度を持つAI技術を活用した「LINE eKYC」を導入。LINE eKYCの導入によって必要な情報を的確に取得できるようになったほか、これまでの郵送による本人確認でかかっていた時間とコストの削減に成功しています。また、オペレーターの目視確認業務の負担軽減やユーザーの利便性向上も実現しました。
LINE Pay株式会社では、本人確認のオンライン化に留まらず、LINE内での本人確認のプラットフォーム化と本人確認審査の全自動化の実現を目指しているとのことです。
タイミーは、スキマ時間をバイトに有効活用したい求職者にマッチングの場を提供するプラットフォームの開発・運営会社です。
人材サービス・アプリの開発・運営ではセキュリティや個人情報の扱いは非常に大きな課題となるため、タイミーはスポットワーク(雇用型ギグワーク)の普及にあたって、個人情報を直接保持せずに本人確認を行えるTRUSTDOCKのeKYCを導入。タイミーが利用しているのはTRUSTDOCKの個人身元確認APIと補助書類確認APIで、ユーザーが検索した仕事に初回応募する際にAPIを使った本人確認を実施しています。
個人情報を自社で抱える必要がなくなったことでセキュリティリスクが低減されたほか、コンプライアンスの厳しい大手との取引においても本人確認を行っているということがプラットフォームの信頼につながっているそうです。
レオパレス21では不動産業とITを融合させた「不動産テック」を推進しており、賃貸住宅管理業で最初にeKYCを導入した企業です。
eKYCの導入検討を後押しするきっかけとなったのが、感染症の拡大によって顧客の来店リスクを回避したいという課題が発生したため。eKYCの導入により、駐車場契約の手続きで必要だった本人確認のオンライン化を実現しています。
数あるeKYCサービスのなかで、株式会社ショーケースが提供する「ProTech ID Checker」に決めた理由の1つが、保険証の画像データのマスキングに自動で対応できるためとのこと。
eKYCを利用する顧客自体は、10%前後とまだそれほど多くありません。一方で、社内業務についてはeKYCの導入で効率化され、本人確認作業の省力化の実現という結果が出ています。
横浜銀行は、大日本印刷株式会社(DNP)が開発した本人認証アプリのシステムを導入しました。身分証などの本人確認書類から登録した顔写真データとスマートフォンのカメラで撮影した顔写真を照合して本人確認を行うもので、なりすましや不正利用を防止する機能が搭載されています。
DNPが持つ複数の金融機関との顔認証の実証実験の実績を踏まえて、横浜銀行ではじめてスマホ決済サービス「はまPay」を利用したキャッシュアウトサービスにも採用されました。銀行の取引機会の減少防止とともに、キャッシュレス化の推進やユーザーの利便性向上も期待されています。
これまで、郵送による本人確認を行っていた東光商事。郵送された本人確認書類を確認する手間が課題になっていたほか、「犯罪収益移転防止法」に準じた本人確認を行うために記載された住所に書留郵便で転送不要郵便を郵送するなどの手間やコストもかかっていました。
そこで、株式会社ショーケースの「ProTech ID Checker」を導入。Webでの申込受付に方針を転換することができ、申込率の99%をWeb申込に移行することに成功しています。
顧客側からも「コピーなど本人確認の書類を揃える手間が省けた」など、効率化を評価する声が届いているそうです。
ネットショップ作成サービスを提供するBASEは、同社カードの申込に対し、株式会社ネクスウェイのeKYC「本人確認BPOサービス」と、転送不要郵便による本人確認書類の印刷発送、郵便追跡を行う「本人確認・発送追跡サービス」を導入しました。
eKYC後の本人確認書類の目視・突合作業をオンラインでできるようになり、ショップオーナーに対してスムーズなBASEカードの発行を実現しています。本人確認・発送追跡サービスでは本人確認書類の発送や追跡も一括して管理できるため、なりすましや不正利用のリスクを2重に低減しています。
GMOオフィスサポート株式会社は、バーチャルオフィス事業の立ち上げに株式会社ネクスウェイのeKYCサービスを導入しました。バーチャルオフィスとは法人登記にも利用できるビジネス用の「住所」をレンタルするサービスで、利用開始には本人確認が必要となります。
犯罪収益移転防止法に沿った取引時確認への対応が求められることから、スマートフォンで撮影した本人確認書類と顔写真だけで本人確認ができる「オンライン本人確認サービスeKYC」や、本人確認書類の目視・突合確認、機微情報マスキング、反社チェック、確認記録の保存に対応する2つのサービスを導入し、本人確認の精度を高めています。
スマートフォンを活用したインターネットFAXサービス「モバイルFAX」を提供している株式会社テレトピアは、株式会社ショーケースの「ProTech ID Checker」を導入しました。
サービスユーザーの本人確認にeKYCを採用し、アプリ内で本人確認が完結できるように利便性を高めています。
顧客情報とリンクするようにカスタマイズすることで、業務の効率性も高められたとのこと。eKYCを採用することで、限られた人手を本人確認業務ではなく他の業務に集中できるようになりました。
法人カード「バクラクビジネスカード」を提供する株式会社LayerXは、カード申込の本人確認システムに株式会社TRUSTDOCKのeKYC本人確認サービスを導入しています。
スタートアップであったことから、サービスの設計部分も含めて一気通貫で対応できる事業者を選んだとのこと。導入後の運用体制を自動化することで、犯罪収益移転防止法の審査など、クレジットカードの本人確認にまつわる業務に対するリソースを低減できるようになりました。QRコードを表示してスマートフォンで操作できるような設計にすることで、ユーザーの利便性も高めています。
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