eKYCに含まれる機能のひとつである「マスキング」機能とは、どのような機能なのでしょうか。こちらでは、マスキング機能について詳しく解説します。
eKYCにおける「マスキング」機能とは、顧客がアップロードをした本人確認書類に含まれる機微情報を黒く塗りつぶして隠すことを言います。
2020年10月1日に本人確認を目的とした、医療保険の「保険者番号」「被保険者等記号・番号」の提示は禁止となりました。
そのため、eKYCによる本人確認で保険証を提示された場合は、保険者番号や被保険者等記号・番号の部分やQRコードなどは、復元できないようマスキングする必要があります。
2020年10月1日より「本人確認等を目的とした、医療保険の保険者番号及び被保険者等記号・番号の告知を求めること」が禁止されました。たとえばサービス利用のために本人確認を行う際、eKYCでは運転免許証や健康保険証の画像を撮影します。紙の書類の場合には、身分証のコピーを提出するよう求めています。
しかし健康保険事業や関連する事務以外の目的で、保険者番号や被保険者等記号・番号などの情報を得ることは「プライバシー保護の観点からNG」となったのです。
そのため、本人確認を行う事業者は利用者の番号や記号を記録することはできません。また、記録はもちろん画像撮影時の情報取得も禁じられているため、画像を受け取る際に該当箇所をマスキングしなければなりません。番号や記号の情報が記録されたQRコードも同様です。
もしも告知要求制限に反した場合、罰則を受ける可能性があります。勧告・命令、立入検査のほか、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
本人確認時などにマスキングを必要となる対象は、個人情報のうち機微情報と呼ばれる部分です。機微情報とは社会的身分や病歴、犯罪経歴、人種、信条など。あくまでも本人確認のために必要なのは現住所や顔写真であり、機微情報は不要な情報として受け取ることを禁止されています。
そのため、医療保険の保険者番号や被保険者等記号・番号だけではなく、「臓器提供意思の有無」や「性別」「本籍地」「障害の等級」などの情報も受け取らないようマスキングしなければなりません。
eKYCにおける本人確認で提出された本人確認書類は、保険証だけではなくほかの本人確認書類でもマスキングが必要な部分があります。
顧客それぞれの本人確認書類に対してひとつひとつマスキングを行っていては、かなりの手間がかかってしまいます。
また、一部の企業では顧客側にマスキングするよう呼びかけ、「マスキングされていないものは申込を受け付けない」としている場合もあります。
マスキングを顧客にゆだねることで、申し込み数の現象等に繋がるリスクもありますので、eKYCのマスキング機能を活用することで、企業側・顧客側双方に大きなメリットが生まれます。
マスキング機能があることで、企業側で多くの工数をかけてマスキングをする必要がなくなりますので、本人確認にかかる作業工数や人件費などのコストを省くことができるメリットがあります。
また、顧客側もマスキングをしなくて済みますので、簡単でスムーズな申込みができるため、より多く申込みが入る事も期待できるといったメリットもあります。
自動的にマスキングができることで、マスキングし忘れなどのリスクも限りなくゼロに近づけることができるでしょう。
eKYCには自動マスキング機能が付いているものもあります。利用者がアップロードした本人確認書類にOCR処理を施し、撮影データからテキストを抽出。マスキングすべき箇所を判別し、黒塗りなどの処理を行ってマスキングします。
また、eKYCサービスによっては人の目で突合チェックを行い、精度をアップさせているものもあります。
2022年4月13日時点、Google検索で「eKYC 導入」と検索した時に検索結果に表示された全31社から、eKYCにマスキング機能があることを明記している企業を紹介します。
マスキングの課題をAIで解決してくれるサービスです。所定のフォーマットに沿って自動でマスキングしてくれるだけではなく、BPOによる最終チェックも可能。「マスキング作業を顧客に頼っている」「社内チェックにかなりの時間がかかってしまう」といった悩みをもつ企業におすすめです。
ProTech AI Maskingを利用すれば24時間365日マスキング対応が可能なうえ、高精度なマスキングを実現。サーバーに送られた画像はマスキング処理を施された後にサーバーへ返送されます。なお、健康保険証だけではなく運転免許証などさまざまな書類に対応できます。
レオパレス21では、法人顧客が物件を寮や社宅して契約する際、駐車場契約は個人で行います。しかし駐車場契約には本人確認が必要であり、運転免許証の提出と面談が必要でした。そこで対面接客を避けるため、eKYCを導入。なかでもデータのマスキング機能は重要視しており、駐車場契約手続き以外での利用を見据えて幅広い書類に対応可能なサービスを検討していました。とくに保険証のマスキングは実現ハードルが高かったものの、ProTech AI Maskingによって自動マスキングを実現できました。
カスタマイズ | 〇 |
---|---|
業務代行 BPO |
〇 |
導入までの期間 | 最短1週間 |
支払い形式 | 当月の利用数ベースで金額が変動 |
EFO機能追加 | 〇 |
アップローダー (カメラ) |
WEB |
顔認証 | 〇 |
OCR | 〇 |
偽造判定 | 〇 |
反社チェック | 不明 |
マスキング | 〇※別API |
生体認証有 | 〇 |
管理画面 | 〇 |
対応できる 本人確認書類 |
運転免許書/マイナンバーカード/在留カードなど |
犯罪収益移転防止法 | 〇 |
「Polarify eKYC」の柔軟なカスタマイズ性を活かしたサービスであるライトでは、必要な機能だけを選択することが可能。表面や裏面のマスキング機能も選ぶことができ、たとえば運転免許証の表面に記載された機微情報を自動的にマスキングすることが可能。本人確認資料のアップロードや実在性確認、OCR、真贋判定サポート、自撮り写真の実在性確認、自撮り写真と本人確認資料の照合などと併せて利用できます。
三井住友銀行では、口座開設アプリの新機能としてeKYCを導入しました。当時eKYCを使って銀行開設できるサービスは国内初であり、口座番号の最短即日発行が可能に。キャッシュカードを受け取る前に新しい口座番号がわかるため、顧客の利便性もアップしています。
カスタマイズ | 〇 |
---|---|
業務代行 BPO |
〇 |
導入までの期間 | 4ヶ月~ |
支払い形式 | 不明 |
EFO機能追加 | 不明 |
アップローダー (カメラ) |
WEB/アプリ(SDK) |
顔認証 | 〇 |
OCR | 〇 |
偽造判定 | 不明 |
反社チェック | 不明 |
マスキング | 不明 |
生体認証有 | 〇 |
管理画面 | 不明 |
対応できる 本人確認書類 |
不明 |
犯罪収益移転防止法 | 〇 |
TRUSTDOCKのeKYCサービスは金融業界をはじめとした多数の企業で導入されています。24時間365日の運用体制をアウトソーシングでき、告知要求制限にも対応可能。健康保険証のマスキング処理を行えます。また、APIは自由に設計できるため、必要なタイミングで必要な機能を実行することができます。さらにTRUSTDOCKでは、各種法律や規制の変更時にも大規模な改修なしでサービス提供を継続可能。規制変更にも柔軟に応じてくれます。
雇用型ギグワークサービスを提供しているタイミーでは、TRUSTDOCKの個人身元確認APIと補助書類確認APIを利用しています。利用者が検索した仕事に初回応募する際に本人確認を行っており、「安くて早く、必要最低限のことができるeKYC」を希望。TRUSTDOCKのeKYCを導入したことで本人確認オペレーションがスムーズになったうえ、ワーカーの個人情報をもたなくて良いという点にメリットを感じているのだそうです。
カスタマイズ | 〇 |
---|---|
業務代行 BPO |
〇 |
導入までの期間 | 開発期間3週間+要件整理+テスト |
支払い形式 | 従量課金 |
EFO機能追加 | 不明 |
アップローダー (カメラ) |
WEB/アプリ(SDK)/ICチップ |
顔認証 | 〇 |
OCR | 〇 |
偽造判定 | 不明 |
反社チェック | 〇 |
マスキング | 不明 |
生体認証有 | 〇 |
管理画面 | 〇 |
対応できる 本人確認書類 |
マイナンバーカード/在留カード |
犯罪収益移転防止法 | 〇 |
KYC業務に必要な一連の機能が備わっている、ネクスウェイ本人確認サービス。マイナンバーカード認証を含むオンライン本人確認ができるのはもちろん、本人確認BPOサービスとして機微情報マスキングにも対応しています。eKYC後の本人確認書類の目視・突合チェックにも対応してくれるため、より高精度なサービスを希望する場合にも安心。eKYCでは対応しきれない顧客の場合でも、犯収法に準拠した転送不可・簡易書留郵便の代行が可能です。
バーチャルオフィス事業を行うGMOオフィスサポートでは、ネクスウェイの「オンライン本人確認サービスeKYC」や機微情報マスキングなどが可能な「本人確認BPOサービス」の導入を決定。犯罪収益移転防止法に沿った取引時確認への対応や、業務フロー設計への知見があることがネクスウェイに決めた理由でした。また、小ロットから対応してくれる点や従量に応じたプランが用意されていることも魅力だったのだそうです。
カスタマイズ | 〇 |
---|---|
業務代行 BPO |
〇 |
導入までの期間 | 2ヶ月 |
支払い形式 | 不明 |
EFO機能追加 | 不明 |
アップローダー (カメラ) |
WEB/アプリ(SDK)/ICチップ |
顔認証 | 〇 |
OCR | 不明 |
偽造判定 | 不明 |
反社チェック | 〇 |
マスキング | 〇 |
生体認証有 | 〇 |
管理画面 | 〇 |
対応できる 本人確認書類 |
マイナンバーカード |
犯罪収益移転防止法 | 〇 |
AlibabaのeKYCは、時間や場所を問わずにユーザー認証をすることが可能なソリューションで、リモートペーパーレスプロセスとなっています。高セキュリティで信頼性も高く、ほとんどの偽造文書やプレゼンテーション攻撃に対する保護対策も提供しており、ID確認の信頼性を確保しています。また、主流なパブリッククラウド拠点とプライベートデプロイメントがサポートされており、ビジネス要件に合わせてAI機能もカスタマイズすることが可能です。
金融技術のパイオニアである雲豊フィナンシャルグループでの導入事例では、顧客の信頼を獲得するためのよりよいソリューションを探していたという経緯があります。Alibabaのソリューションでは接続速度が非常に高速であり、時には交換サーバーに直接接続するよりも速いということがわかりました。料金プランについても非常に競争力が有り、切り替えまでのプロセスにも1か月程度しかかからなかったなど価格的価値と時間的価値が非常に高い導入となったようです。品質の向上と接続速度の高速化が実現できたため、非常に満足度の高いソリューションとの事です。今後も引き続き海外顧客の温ボーディングプロセスを強化していくことが期待されています。
カスタマイズ | 〇 |
---|---|
業務代行BPO | 不明 |
導入までの期間 | 1ステップ(5営業日) |
支払い形式 | 従量課金制 |
EFO機能追加 | 不明 |
アップローダー(カメラ) | 不明 |
顔認証 | 〇 |
OCR | 〇 |
偽造判定 | 〇 |
反社チェック | 不明 |
マスキング | 〇 |
生体認証有 | 〇 |
管理画面 | 〇 |
対応できる本人確認書類 | 不明 |
犯罪収益移転防止法 | 不明 |
eKYCを導入することで、企業側にも顧客側にも大きなメリットがありますが、2020年10月1日から保険証の保険者番号や記号・番号、運転免許証の臓器提供意思表示欄などの機微情報をマスキングしなくてはなりません。
適切にマスキングができていない場合は罰則も設けられているため、企業側には大きなリスクとなります。
リスクを軽減するためにも、自動的にマスキングができるツールを利用するなどで、リスク軽減に努めることが大切です。
スムーズな本人確認ができるeKYCですが、個人情報や機微情報の取り扱いが難しいリスクがあります。
企業側のリスクをより軽減していくためにも、自動マスキング機能がついたeKYCを導入することをおすすめします。
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開発設計・導入
金融機関水準の
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