マイナンバーカードは、公的個人認証としてオンライン上の本人確認(eKYC)に利用できます。
eKYCを導入した事業者が、マイナンバーカードで本人確認を実施する際のポイントをお伝えします。
本人確認を求められた際、eKYCを導入している事業者なら、マイナンバーカードをスマートフォンで撮影して送るだけで本人確認を済ませられます。
撮影する際には、顔写真がはっきり写っていることに加え、氏名や住所、生年月日、交付元、有効期限といった文字情報も認識できることがポイントです。暗い場所で撮影したりカードを手持ちで撮影したりすると、画像を認識できず本人確認ができないことがあります。カードケースなどにマイナンバーカードを入れている方は、ケースから出して撮影しましょう。
また、住所変更の記載がある方は、自治体の押印がないと現住所を確認できず、本人確認もできないので注意が必要です。
スマートフォンで撮影した場合、紛失や盗難にあうと個人情報が漏えいするリスクがあります。自らしっかり管理することも、重要なポイントです。
なおICカードリーダーを使ってマイナンバーカードのICチップの情報を読み取り、本人確認をすることもできます。この場合、対応アプリをインストールしたパソコンへカードリーダーを接続して、そこにマイナンバーカードを置き、ログイン用暗証番号である利用者証明用電子証明書のパスワードを入力してシステムへログインします。
本人確認(eKYC)をマイナンバーカードで行う場合、画像や文字情報、ICチップの情報からチェックします。
顔写真は、一緒に送る本人の顔写真とマイナンバーカードの画像を突合しますが、その作業は事業者によって異なります。目視確認が一般的ですが、AIを活用した画像識別で厳格にチェックしているところもあります。
文字情報も、基本的には目視確認ですが、これもOCR(光学的文字認識)という技術を活用し、業務負担の軽減につなげている事業者も多いです。なお、eKYCのシステムには、申込時のエントリーフォームに読み取った文字情報を反映できるものもあります。これを使えば、ユーザーの利便性向上につながるだけでなく、離脱率を抑えることにも寄与するでしょう。
ICチップは改ざんされにくいことが特徴です。信頼性が高い情報ですから本人確認作業の軽減につながりますが、ユーザーからみるとICチップの情報を読み取るにはNFC対応のスマホが必要になるなど、限られた人しか使えないことは認識しておきたいポイントです。
ヘ方式では、ご自身のスマートフォンを使って、顔の写真を撮影し、マイナンバーカードや運転免許証に内蔵されたICチップから個人情報を読み取ります。顔認証は、アプリを通じてリアルタイムで行われ、既存の写真やビデオは利用できないため、不正行為を防ぎます。この手法では、NFC機能を備えたスマートフォンが必要で、簡単にかざすだけで個人情報を安全に読み込むことが可能です。
ト方式(1)では、ICチップに保存された個人情報と、銀行をはじめとする金融機関の顧客情報を照合して本人確認を行います。ヘ方式と同じく、NFC機能を使って簡単に情報を取得できますが、ここでのポイントは金融機関との信頼された連携にあります。また、スマートフォンがNFCに対応していない場合でも、本人確認書類の写真を使って確認することができるため、幅広いユーザーに対応可能です。
「ワ方式」とはマイナンバーカードに搭載されているICチップに記録された署名用電子証明書を、事前に設定されている暗証番号を使って利用することで、よりセキュアな環境を実現する認証方式です。
マイナンバーカードではシステムへログインするための利用者証明用電子証明書の暗証番号の他に、署名用電子証明書を利用するための暗証番号が設定されています。ワ方式ではマイナンバーカードとICカードリーダーを使ってシステムにログインしたうえで、署名用電子証明書の暗証番号を入力して電子署名を行うという多段階認証です。
eKYC(電子顧客確認)プロセスは、オンラインサービスにおける本人確認を迅速かつ確実に行うための重要な仕組みです。ここではマイナンバーカードを活用したeKYCの利点と懸念点を、より深く掘り下げてご紹介します。
マイナンバーカードを用いたeKYCは、煩雑な手続きを簡略化し、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。ICチップの読み取りと暗証番号入力により、手間をかけずに安全な本人確認が可能です。
マイナンバーカードに組み込まれた電子証明書は、公開鍵暗号方式で保護されており、個人情報の不正アクセスや偽造から守ります。
物理的な書類の提出やチェックが不要になるため、事務手続きの簡素化が可能となり、企業にとってコスト削減につながります。
マイナンバーカードは国のデータベースと直結しているため、変更があればすぐに情報が更新され、常に正確な顧客情報の保持が可能です。
日本国内でのマイナンバーカードの普及率はまだ100%に至っておらず、全ユーザーがすぐに利用できるわけではありません。
ICチップの読み取りが可能なスマートフォンやデバイスが必要となるため、一部のユーザーが利用に際して障壁を感じる可能性があります。
犯罪収益移転防止法では、特定事業者に対して本人確認を義務化するとともに、本人確認の方法も定めています。
マイナンバーカードは、eKYC[ホ][ヘ][ト][ワ]に該当するため、転送不要郵便などは不要ですし、ICチップの情報と特定事業者のソフトウェアを用いたカメラでカードの特徴がわかるよう撮影した画像があればよいという利点があります。
オンラインで送られてきた画像を目視で本人確認する際、偽造されていないか、本人が所持するものかといった点までチェックするのが難しくなっています。
近年は、改ざんや加工技術も高まり目視だけだと限界もありますから、OCRやAIなどの技術を搭載したeKYCのシステムも活用し、効率よくかつリスクを回避できる方法で本人確認を進めることも検討しましょう。
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