クレジットカードや決済サービス、銀行口座の開設などにおいて、オンラインで本人確認が可能なeKYCを導入するサービスが増えています。従来の対面や転送不要郵便などによる本人確認と違って手間や時間がかからないことから、ユーザーの利便性や満足度の向上につながるのが魅力です。
一方で、本人確認の認証方式によっては対応機種が限定されることもあり、すべてのユーザーがeKYCを利用できるとは限りません。自社に最適なeKYCを導入するためにも、認証方式による対応機種の違いについて押さえておきましょう。
ホ方式は、本人確認時に撮影した自身の容貌画像と写真付本人確認書類の画像を事業者が提供するアプリやブラウザに送信し、本人確認を行う方式です。カメラ機能を搭載したスマートフォンとインターネット環境さえあれば利用できるため、大半のスマートフォンの機種に対応しています。
時間や場所を選ばずに本人確認を行える手軽さから、最も利用シーンの多いeKYC方式です。
ヘ方式・ワ方式は、ICチップの読み取りが可能なNFC機能を搭載したスマートフォンで利用できる認証方式です。NFC機能を搭載している機種に限定されるため、自社サービスのユーザー層や求めるセキュリティ強度に応じて検討する必要があります。
ただ、ヘ方式・ワ方式での認証にはさまざまなメリットがあり、たとえばIC情報を読み取ることで書類の突合や目視確認が必要なくなるので、審査申し込みの24時間対応が可能です。ユーザーがサービスを利用開始するまでの時間が短縮されるため、ユーザーの満足度向上につながります。
また、読み取りや改ざんの難しいICチップ情報を本人確認に利用することにより、偽造やなりすましといった不正のリスクを抑えられ、セキュリティ強度を高められるのもポイントです。
ヘ方式・ワ方式は、スマートフォンにICチップの読み取りが可能なNFC機能がついていることが前提になるため、NFC機能を搭載していない機種はオンラインでの本人確認を行えません。また、NFC機能を搭載している場合でも、マイナンバーカードの読み取りには対応していない機種もあるので注意が必要です。
ユーザーの所有しているスマートフォンの機種によっては、自社で導入しているeKYCに対応していない場合があります。また、スマートフォンを使い慣れておらず、eKYCに対応できないというユーザーもいるでしょう。そういった場合に備え、ほかの本人確認手法へすぐ切り替えられるように準備しておくことが大切です。
ほかの本人確認方法としては、転送不要郵便を利用した本人確認があげられます。
郵送による本人確認は、申し込み時に提示された住所に必要書類を転送不要郵便で送付し、郵便の受け取りによって該当の住所に本人が居住していることを確認する方法です。本人確認書類の写し2点または1点とマイナンバー確認書類を郵送してもらい、本人確認が完了となります。
そのほか、本人限定受取郵便を送付して、受け取り時に本人確認書類を提示してもらうことで本人確認を完了する方法もあります。
自社が導入しているeKYCに対応している機種であっても、認証がうまくいかない場合があります。その要因として主に考えられるのが、「OSのバージョン」「ブラウザの種類・バージョン」「セルフィー撮影環境」「インターネットの通信環境」です。
eKYCには推奨の動作環境があり、所持しているスマートフォンやタブレットなどのOSが推奨されているバージョンでない場合は、認証がうまくいかないことがあります。対応機種なのにeKYCを実施できないという場合は、eKYCが推奨している動作環境と端末のOSのバージョンを確認し、必要に応じてOSをアップデートしてもらいましょう。
多くのeKYCではSafariまたはChromeでの使用を想定しているため、そのほかのブラウザではサービスを利用でない場合があります。また、推奨しているブラウザだったとしても、バージョンが古いとeKYCの画面を表示できないケースもあるので注意が必要です。
eKYCを実施できないことでトラブルにならないように、推奨しているブラウザの種類やバージョンについての注意事項をユーザーに表示するようにしましょう。
ユーザーが自身の容貌を撮影する際、撮影環境が悪いと画像認識がうまくいかない場合があります。写真を使って本人確認を行うには顔に影などがかかっていないことが求められるため、薄暗い場所や光の反射が多い場所を避ける必要があります。
また、メガネに光が反射していたり、フレームで目が見えなかったりする場合も画像認識がうまくいかない原因になるので、ユーザーに注意事項として案内すると良いでしょう。適切な撮影環境の指示や注意事項の表示、再撮影の実施を行うことでも、ユーザーの離脱防止につながります。
ユーザー側のインターネットの通信環境によって、送信エラーや撮影画面が黒くなるなどのトラブルが発生する場合があります。eKYCの実施中に接続が切断されないようにするには通信状況の良い場所で行ってもらう必要があるため、eKYCの開始前にユーザーへ注意喚起するようにしましょう。
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