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eKYCのホ方式とは?

オンラインでの本人確認がますます重要になっている現代、eKYC(electronic Know Your Customer)は金融機関やサービス業で広く採用されるようになりました。その中でも「ホ方式」は、日本における犯罪収益移転防止法(犯収法)に基づく本人確認手法の一つとして注目されています。本記事では、ホ方式の基本的な仕組みや手順、メリット・課題、そして他の方式との違いについて詳細に解説します。

eKYC ホ方式とは?

ホ方式は、スマートフォンやパソコンを利用して、オンラインで本人確認を行う手法です。この方式では、顔写真付きの本人確認書類(例:運転免許証やマイナンバーカードなど)とユーザー自身の顔写真を撮影・送信し、これらを照合することで本人確認が行われます。特別な機器が不要で、手軽に利用できる点が特徴です。

犯収法における位置づけ

ホ方式は、日本の犯罪収益移転防止法で認められた本人確認の一手法です。書類の偽造や不正使用を防ぐために、顔写真や本人確認書類の画像を基に事業者が厳密にチェックする必要があります。

eKYC ホ方式の手順

1. 本人確認書類の撮影

ユーザーは、顔写真付きの本人確認書類を以下のように撮影します。

これにより、書類が原本であることを証明します。

2. 顔写真(セルフィー)の撮影

ユーザー自身の顔写真をリアルタイムで撮影します。ここでは、ライブネスチェックが行われる場合が多く、次のような生体反応を確認します。

これにより、写真が実際の人物によるものであることを確かめます。

3. 情報の送信と照合

撮影された顔写真と本人確認書類の情報を照合し、一致が確認されると本人確認が完了します。この工程は事業者側で行われます。

eKYC ホ方式のメリット

1. ユーザーの利便性

スマートフォンと本人確認書類があれば、どこでも簡単に本人確認を行えます。わざわざ窓口に出向く必要がないため、時間と労力の節約につながります。

2. 導入の容易さ

事業者側も特別な機器を用意する必要がなく、比較的低コストで導入できます。これにより、幅広い業界で利用が進んでいます。

3. 手続きの迅速化

オンラインでの本人確認は、郵送や対面での確認に比べて圧倒的に早く、ユーザーの待ち時間を短縮できます。

eKYC ホ方式の課題

1. 偽造書類やなりすましリスク

本人確認書類の偽造や他人の写真を使用したなりすましのリスクが存在します。特に、近年の偽造技術の高度化により、目視確認だけでは対応が難しくなっています。

2. 目視確認の負担

事業者側での目視確認が必要であり、確認作業の負担が増加します。大量の申請がある場合、人的リソースが不足する可能性もあります。

3. セキュリティの懸念

ユーザーが送信するデータが適切に保護されていない場合、個人情報の漏洩リスクが懸念されます。

他のeKYC方式との比較

ワ方式との違い

ワ方式は、マイナンバーカードのICチップを利用して本人確認を行います。これにより、書類の偽造リスクを大幅に低減できますが、マイナンバーカードを所持していることが前提となります。

ヘ方式との違い

ヘ方式は、本人確認書類のICチップ情報を読み取る方式です。このため、ICチップ対応のスマートフォンが必要であり、ユーザーにとって若干の負担が生じます。

eKYC ホ方式の今後

ホ方式は利便性が高い一方で、セキュリティの課題が存在します。政府は、犯罪収益移転防止法に基づき、マイナンバーカードによる公的個人認証サービスへの移行を推進しており、今後はワ方式の利用が主流になると予想されます。しかし、全てのユーザーがマイナンバーカードを所持しているわけではないため、ホ方式も引き続き重要な選択肢として残るでしょう。

まとめ

eKYC ホ方式は、オンラインで本人確認を行う便利な手法であり、多くの業界で採用されています。簡便で導入コストが低い一方で、偽造リスクや目視確認の負担といった課題も存在します。他の方式との比較を踏まえ、導入目的やユーザー層に応じた適切な方式を選択することが求められます。今後も、技術の進展と規制の動向を注視しながら、安全かつ効率的な本人確認を実現していくことが重要です。