オンライン上での口座開設において、本人確認をスムーズに進めるために、eKYCを導入する金融機関は多くみられます。eKYC導入で、口座開設にどのような変化をもたらすのか、メリットやリスクを踏まえながら解説します。
インターネット上から口座開設の手続きをすると、本人確認のために転送不要郵便物を受け取る必要があります。また、口座が開設されるまでの時間も1~2週間を要するのが一般的です。
eKYCを導入した金融機関であれば、スマートフォンで顔写真や本人確認書類を撮影し、インターネットで送ることにより本人確認が完了します。迅速な本人確認により、即日で口座開設できる金融機関もあるなど、取引を始めるタイミングも早まります。
なお、すべての金融機関が口座開設時にeKYC対応できるわけではないため、検討しているところがあれば、あらかじめ確認しましょう。
A行では、eKYCベンダーのLIQUIDが提供するeKYCを導入したことで、口座開設の時間が最短10分にまで短縮。利用者が来店したり、郵便を受け取ったりする必要がなく、利便性の向上に貢献しています。
松井証券は、個人口座の開設時にスマートフォンで本人確認を行えるeKYCを導入。即日開設も可能になり、申込日から取引を実行できるといったユーザーの利便性も向上しています。
eKYCを導入するメリットのひとつが、利用者に利便性の高いサービスを提供できることです。口座開設までの時間を短縮することで取引開始までの期間も短くできますし、利用者の満足度向上につながります。
また、本人確認に関する業務効率化も図れるほか、犯罪収益移転防止法などの法律・法令に適用するeKYCを導入すれば、セキュリティレベルを向上できることもメリットです。
個人情報を多く扱うことから、情報漏えいのリスクが高まることが注意点のひとつ。口座開設アプリなどに脆弱性が見つかると、大きな損失を招きかねません。既存システムに加えeKYCのシステムも常に監視する体制を整える必要があります。
スマートフォンなどの個人向けデバイスで、銀行などの金融口座のも手軽に管理できるようになった一方で、情報漏洩のリスクが常に孕んでいることを忘れてはいけません。スマートフォン本体が盗難に遭ったり紛失してしまったりすると、セキュリティ対策が無効化されてしまうことがあります。
二要素認証も突破されてしまうリスクがあるため、遠隔からロックできるようにするなど、情報漏洩を防止する仕組みを導入して備えておくことが求められます。
不正利用を防ぐために画像だけでなく動画を本人確認に活用するサービスが増えてきていますが、それだけの個人情報がアップされているということです。
顔画像や動画には顔だけでなく撮影した場所の様子なども記録されている場合があるため、個人情報が漏洩してしまえばセンシティブな情報が漏洩することにもなりかねません。
口座開設に限らず、eKYCは本人確認が必要なさまざまな業務において活用の幅が広がると期待されています。リスクへの徹底した対策が求められますが、オンライン取引が日常化する社会において必要不可欠なしくみのひとつになっていくでしょう。
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