携帯電話を契約したり契約者を変更したりする場面では、本人確認が行われます。大手キャリアでは、本人確認をeKYCで運用しており、他社も追随していくことが予測されるでしょう。
携帯電話の事業者におけるeKYCの動向について、まとめました。
携帯電話の普及により便利になった一方で、振り込め詐欺をはじめ携帯電話を悪用した犯罪が社会問題化しました。これに対して国は、携帯電話不正防止利用法を施行。携帯電話の不正な譲渡や貸与をした者を罰するとともに、通信キャリアには契約の締結や譲渡するときには本人確認を義務付けたのです。
本人確認をする際は、以前は窓口に本人確認書類を持って手続きをする必要がありましたが、最近はスマートフォンで撮影した利用者の顔や本人確認書類で完了することも可能です。大手キャリア3社ではeKYCを導入し、契約時だけでなくアプリを使ったサービスの利用時の本人確認にも活用しています。
NTTドコモのキャッシュレス決済サービス「d払い」の本人確認には、NECのeKYCが活用されています。ユーザビリティの向上や、不正利用の低減につながっているようです。
楽天モバイル株式会社は日本国内の移動体通信事業者(MNO)として始めて、楽天モバイルのオンライン契約における本人確認作業をオンラインのみで完了できるよう「AIかんたん本人確認(eKYC)」を導入しました。これにより従来は郵送による手続きなどが必要だった本人確認作業が短縮され、利用者によっては申込み直後に通信サービスを利用可能です。
SoftBankでは公式オンラインショップでスマートフォンを購入した利用者などを対象として、オンラインでの本人確認を行えます。
対応可能な本人確認書類は運転免許証やパスポート、マイナンバーカード、健康保険証など色々な書類が挙げられており、在留カードや外国パスポート、特別永住者証明書など外国籍向けの書類にも対応します。
法人向けにコストを抑えたモバイルSIMサービス「ロケットモバイル」を提供する株式会社IoTコンサルティングでは、2023年秋からeKYCシステムとして「ProTech ID Checker」を導入しました。これによりオンラインでの本人確認や申込み手続きが効率化され、さらに不審な申込み件数がおよそ7割減になったこともポイントです。
スマートフォンの登場により、携帯電話は「話す」だけの道具ではなく金融取引をはじめ多様なサービスを提供できるようになりました。その一方で、犯罪の温床となる一面も問題視されています。
携帯電話不正防止利用法に加え、犯罪収益移転防止法にも適用するためにも、eKYCは必須のツールなのです。
2020年4月に携帯電話不正利用防止法が改正され、オンラインでの本人確認が認められるようになったことで、新規端末の購入や契約がインターネットでも行えるようになりました。eKYCを導入することでインターネットでスマートフォンを購入したいニーズに応えられる体制を整えられ、機会損失を防ぐことができます。
また、需要が高まっているeSIMについても、eKYCの利用によって即座に本人確認を行なえ、最短即日での発行も可能に。本人確認に要する時間の大幅な短縮とより早いサービスの開始を実現できるため、サービス申し込みの離脱防止や顧客満足度への貢献が期待されています。
通信事業者にとっても、eKYCの導入によって本人確認業務の人員および管理コストの削減、郵送費用の削減といった効果を見込めるので、検討する価値のあるサービスと言えるでしょう。
携帯電話不正利用防止法は、通信可能端末設備などを有償で貸与するレンタル携帯電話事業者も対象です。また、2008年12月に、レンタル事業者による契約時の本人確認の厳格化を求める法改正も行われています。
携帯電話不正利用防止の要件を満たさない本人確認を実施した場合、罰則を科されることもあります。特にレンタル携帯電話事業者の場合は、行政指導を受けずに即罰則を科されることもあるので、注意が必要です。携帯電話不正利用防止法や犯収法に準拠したeKYCを活用することで、安全に本人確認を行いながら業務負担を軽減することができます。
また、ユーザーにとっての利便性も向上し、サービス申し込みの離脱防止や顧客満足度を高める効果も期待できるでしょう。
犯罪収益移転防止法(犯収法)では、特定事業者が特定取引を行う際の身元の確認が義務付けられています。特定事業者には電話転送サービス事業者や電話受付代行業も含まれ、犯収法で定められた本人確認を行わないといけません。
厳格な本人確認が求められ、事業者にとっての負担も大きいものとなります。犯収法に準拠したeKYCの導入によって事業者の業務負担を軽減できるほか、コスト削減にも貢献。また、犯収法の要件を満たすことで、是正命令や罰則を回避できるメリットもあります。
個人情報や機密情報をはじめ、多くの情報を蓄積しているデバイスですから、実績が多く信頼性の高いeKYCベンダーを選ぶことが、ポイントです。
通信事業者には情報セキュリティへの担保が求められるため、認証精度の高いサービスを選ぶことが大切です。認証精度の高いeKYCサービスを導入することにより、誤情報やなりすましによる申し込みのリスクを回避しやすくなります。
認証精度の低いサービスだと本人確認が正確に行えなかったり、時間がかかったりなど、事業者だけでなくユーザーにとっても不利益を及ぼす可能性あり。競争が激化している通信業界において、ユーザーの離脱は大きな痛手となるため、セキュリティの確保や顧客満足度の向上のためにも、認証精度の高いサービスを選ぶようにしましょう。
通信事業者は抱えている顧客の数が膨大なので、不要な機能が多いサービスだと処理に時間がかかったり、余計なコストが発生したりする可能性があります。それだと業務負担の軽減やコスト削減というeKYCのメリットを得られないため、自社に合った機能のみを付けられるサービスを選ぶのがおすすめです。
eKYC開発ベンダーによってはカスタマイズに対応していないところもあるので、必要な機能のみを選択できるか確認し、導入を検討すると良いでしょう。
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