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廃止される従来のeKYC方式とは?

eKYC廃止の背景

近年、犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法に基づく本人確認手法が見直される中、政府はeKYCの一部手法の廃止を決定しました。特に、運転免許証や健康保険証などの画像を撮影して送信する「ホ」方式が2025年度を目処に廃止される予定です。この背景には、AI技術やディープフェイク技術の進化が大きく影響を及ぼしています。

ディープフェイクなどを用いた不正が増加する中、撮影された本人確認書類の画像では安全性が十分とはいえなくなりました。これにより、政府はマイナンバーカードを活用した公的個人認証サービス(JPKI)を中心に据えた新しい本人確認手法への移行を進めています。

公的個人認証サービス(JPKI)の概要と重要性

JPKI(公的個人認証サービス)は、マイナンバーカードのICチップ内に格納された電子証明書を活用し、オンラインでの本人確認を行う仕組みです。JPKIはこれまで主に行政手続きや一部の金融機関で利用されてきましたが、今回のeKYC廃止に伴い、幅広い分野での利用が推進される予定です。

JPKIの主な特徴と利点を以下に示します:

廃止される「ホ」方式の課題と脆弱性

「ホ」方式では、ユーザーが運転免許証や健康保険証の写真を撮影し、その画像をアップロードして本人確認を行います。この方式はシステム構築の容易さやコストの低さから広く採用されてきましたが、以下の課題が顕在化しています。

JPKIの導入がもたらす新しい方式

「ワ」方式の詳細

「ワ」方式は、マイナンバーカードの電子証明書を使用してオンラインで本人確認を行う方式です。この方式では以下のプロセスを経て本人確認が行われます:

  1. マイナンバーカードをICカードリーダーまたはスマートフォンに接続。
  2. マイナンバーカード内の電子証明書を読み取り。
  3. ユーザーの顔写真と電子証明書のデータを照合。

この方式は、不正防止に特化しており、高度なセキュリティを実現します。

「ヘ」方式の詳細

「ヘ」方式は、運転免許証や在留カードのICチップ情報を利用して本人確認を行う方法です。この方式の特徴は以下の通りです:

ディープフェイク対策と今後の技術革新

ディープフェイクやAI技術の進化は、本人確認手法の改革を急務としました。JPKIでは、これらの不正に対応するため、顔認証技術と電子証明書を組み合わせた高度な本人確認が行われます。さらに、以下の技術革新が進行中です:

ユーザーと事業者への影響

ユーザーへの影響

JPKIの導入により、ユーザーには新たな操作やツールの利用が求められます。特に、マイナンバーカードの普及率をさらに向上させることが重要となります。また、高齢者やデジタルに不慣れな層に対しては、操作の簡略化やサポート体制の整備が求められます。

事業者への影響

事業者は、新しい本人確認手法に対応するため、システムの改修や投資を行う必要があります。また、セキュリティ基準の遵守や、不正防止のための教育・研修の実施が求められます。

今後の展望

政府は2024年度に改正内容を決定し、2025年度以降に施行する予定です。この移行により、本人確認の信頼性と安全性が大幅に向上し、デジタル社会のさらなる発展が期待されています。引き続き、政府や関連機関からの最新情報を注視し、適切な対応を進めることが求められます。

ホ方式の廃止に向けて企業が考えること

新たなeKYC方式への移行は、セキュリティレベル向上と不正対策を強化する大きなチャンスである一方、企業側には対応すべき課題も多く存在します。まずは「ホ」方式が廃止されるスケジュールを踏まえ、余裕を持ってシステム改修やワークフローの見直しを進めることが重要です。また、マイナンバーカードをはじめとしたICチップ搭載証明書に対応するには、専用リーダーやスマートフォンアプリの整備が必要となります。これに伴い、ユーザーサポートや操作ガイドなどの導線づくりにも十分注意しなければなりません。

さらに、ディープフェイク技術の進化に合わせたセキュリティ対策や、従業員のリテラシー向上を目的とした教育・研修の実施も不可欠です。ブロックチェーンや生体認証などの先端技術をどう活用するかも含め、常に最新情報をキャッチアップしつつ自社の状況に合わせた段階的な導入計画を立案することが求められます。法改正の動向や関連ガイドラインにもアンテナを張り、適切な対策を講じながら、安全・円滑なeKYCを実現する必要があるでしょう。

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セキュリティ刷新に向けたeKYC導入の意義

ホ方式の廃止は、今後のeKYCシステムにおいてより高度なセキュリティ対策が求められる転換点となります。これに伴い、企業としては次の点をしっかりと抑えて導入を進める必要があります。

1. 豊富な実績で裏打ちされた信頼性

2. カスタマイズ性で未来への柔軟な対応を

まとめ

ホ方式の廃止は、単なる手法の変更ではなく、セキュリティ強化と技術革新への本格的な転換の象徴です。今後、信頼性の高い実績と柔軟なカスタマイズ性を備えたeKYCベンダーを選ぶことは、ユーザーの離脱を防ぎ、エントリーフォームの煩雑さを解消するだけでなく、将来のリスクにも強いシステム環境の構築につながります。